東海北陸理学療法学術大会誌
第28回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: P-63
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高齢患者の転倒に関与する因子の検討
*青山 満喜安藤 正和
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キーワード: 高齢者, 転倒, 転倒予測因子
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抄録
【目的】 我が国における高齢者の割合は増加し続けており、2050年には総人口のほぼ3人に1人が高齢者になると予想されている。
 転倒は高齢者に頻発する「老年症侯群」の一つであり、要介護の主因の一つであり、寝たきりを招く原因になりうる。
 以上のように高齢者の転倒は、生命やその後のADLやQOLに重大な影響を及ぼす。転倒予防は要介護状態を抑制するだけでなく、要介護者、介護者のQOL、医療費の抑制にもつながり、超高齢者社会を迎える我が国において医療福祉政策上も極めて重要である。今回我々は、高齢者の転倒に関与する因子について検討した。
【方法】 名古屋市と近郊の老年内科外来に通院する65歳以上の高齢者100名(男性:42名、女性58名、平均年齢80.2±5.7歳)で、歩行補助具を用いてもよいが、自立歩行が可能な者を対象とした。
 対象者にFall Risk Indexを実施し、スコア6点以上で『転倒リスクあり』と判定された100名の身体計測、握力、下肢筋力、Berg Balance Scale, Timed Up and Go, Functional Reachを測定した。
 ADLは、Barthel IndexとFIM, Motor Fitness Scaleを調査し、初期調査時の《横断研究》と6ヶ月間の《前向き観察研究》を行い、転倒の有無との関連を検討した。
 この調査は、大学医学部倫理委員会にて承認後、実施した。対象者には口頭と書面にて説明をし、書面にて同意を得た。
【結果】 登録から半年間の転倒の有無別に、登録時の対象者の特性をstudent t-testおよびカイ二乗検定を用いて解析した。半年間の転倒と関連する因子に関して、ロジスティック回帰分析を用いて抽出した。統計解析にはSPSS18.0を用い、いずれも危険率5%未満を有意差ありとした。
 6か月の観察期間中に100名中35名が転倒を経験した。半年間の転倒経験者は未経験者に比べ女性の割合が多く(p=0.04)、過去1年間の転倒経験者が多かった(p=0.03)。
 しかし、身体計測、下肢筋力、バランス・スケールで転倒の有無別の2群間に有意差は認められなかった。
 転倒者は非転倒者と比較し、握力が低い傾向にあった(p=0.05)。単回帰分析で転倒と有意な関連を認めたものは、性別(p=0.04)、過去一年間の転倒経験(p=0.03)であった。握力(p=0.06)、薬剤数(p=0.08)は、統計的有意差はないものの転倒と関連する傾向を認めた。
【考察】 今回の半年間の転倒は全て自己申告であり、正確な報告であったか否か検証が難しい。また、外来に自分で通院できる高齢者が対象であったため、筋力が比較的保たれていたことが下肢筋力と転倒との関連を見いだせなかった原因であると考えられる。
 しかしながら、服用する薬剤数と転倒の関連を認めたこと、ならびに転倒を予測する因子として握力が抽出されたことは、リハビリテーションを実施する上で参考になると考える。
【まとめ】 転倒は外傷、特に骨折による身体的な障害を生じさせるだけでなく、一度転倒すると、再転倒の恐怖のあまり、行動や日常生活活動範囲を極度に狭小化し、高齢者を虚弱に至らせる転倒後症侯群を引き起こす。
 今回提示した転倒予測因子を、転倒予防を考える上で活用していきたいと考える。
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© 2012 東海北陸理学療法学術大会
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