抄録
【目的】 当施設では、H23年4月から1年間、利用者の選択性を取り入れた主体的参加を促す取り組みを行った。それらの活動が利用者の生活機能や活動量に与える影響を明らかにする。
【方法】 期間はH23年4月~H24年3月の1年間とし、当施設通所リハビリ利用者104名(平均年齢79.3歳、要介護83名・要支援21名、男45名:女59名)を対象とした。生活機能の評価として、H23年4月とH24年3月に対象者のFIMを実施した。また、通所スタッフや家族からの情報収集をもとに対象者の変化を評価した。取り組み内容は、
1. リハビリテーション(以下リハ)スタッフと介護スタッフ協働プログラム:グランドゴルフ・卓球・足浴を各々2~4回/月実施。
2. 季節別プログラム:8月はラジオ体操・ポイントカード、10月は遠足、1月は正月遊びを季節限定プログラムとして実施。
3. 壁掛け問題:めくると答えが出る漢字問題を壁に設置。タイトルや問題は、利用者がクラブ活動で作成。以上3点を行った。今回の内容の倫理的配慮については、施設の了承を得た。
【結果】 リハスタッフと介護スタッフ協働プログラムでは、毎回約20%の利用者が選択をして参加。当日のスケジュールを自己管理して参加する利用者は約10%であった。季節別プログラム(ラジオ体操、正月遊び)では、約70%の利用者が選択をして参加した。普段14時頃まで臥床する方が、ラジオ体操の日は13時頃ベッドを出てリハ室へ移動していたなど行動の変化があった。壁掛け問題では、めくったことがある51%。習字クラブで問題作成した15%。メモをする4%であった。家族からの声として、自宅でトイレへ行く際に毎回歩いて行くようになった。自宅での会話が増えたという声が聞かれた。FIMにおいては、H23年4月平均89.3点、H24年3月平均89.0点であった。
【考察】 FIMでは変化がなく、在宅生活機能に改善は見られていない。主体性の促しにより、施設内での活動量の向上には繋がるが、生活機能に影響を与えるには至らなかった。利用者全体の中でスケジュールを自己管理できている利用者は10~20%であり、要支援1・2、要介護1・2が多い。要介護3以上や認知症、CVAの利用者は、自己選択やスケジュールの自己管理を行うことが難しく、今後は介護度や年齢、疾患により主体性を促すプログラムや選択性の取り入れ方を考えていく必要がある。壁掛け問題では、好奇心に触れることで心が動き、自然とリーチ動作に結びついた。壁掛け問題作成はクラブ参加者の役割のひとつにもなりモチベーション向上に繋がったと考える。これらの取り組みが、徐々に施設内や家庭での行動に変化をもたらし主体性の構築に繋がると考えられた。
【まとめ】 主体的参加を促す取り組みは、生活機能の向上には至らなかったが、利用者の活動量やスケジュール自己管理能力の向上に有効であることが示唆された。