東海北陸理学療法学術大会誌
第28回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: S-07
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主題演題
施設入所者における栄養状態と身体機能の関係
*加茂 智彦西田 裕介
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抄録
【目的】 高齢者にみられる低栄養は生理的機能の低下とともに身体機能の低下を引き起こす。身体機能の低下により、身体低活動や食欲不振を引き起こし、さらに低栄養を助長するという悪循環が生じる。また、身体機能の低下はADL能力の低下を引き起こし、死亡率の増加、QOLの低下を招くことになる。このようにリハビリと栄養は相互関係になっており、切っても切り離せない関係である。低栄養状態でリハビリを行っても改善が認められないばかりか、たんぱく異化を引き起こす危険性も示唆されている。しかし、リハビリの視点から栄養を捉えた研究は少ないのが現状である。そこで、本研究では栄養状態が身体機能に及ぼす影響を検討した。
【方法】 本研究の対象は施設入所者61名(男性:8名、女性:53名)である。測定項目は、年齢、BMI、MMSE、簡易栄養状態評価表(Mini Nutritional Assessment MNA)、SPPB(Short Physical Performance Battery)、上腕周径、下腿周径、握力とした。統計学的分析では身体機能と栄養状態との関連性を検討するために、SPPBを従属変数とし、独立変数を年齢、BMI、MMSE、MNA、上腕周径、下腿周径、握力としたステップワイズ法による重回帰分析を行った。すべての統計処理はSPSSを用い、統計的有意水準は危険率5%未満とした。なお全対象者または家族に研究の目的および測定に関する説明を十分に行い、口頭または書面にて同意を得た。
【結果】 各項目の測定結果は平均値±標準偏差で示した。対象者の年齢は85.7±6.8歳、介護度は2.54±1.4、MMSEは14.4±8.5、MNAは17.8±4.4、上腕周径は21.7±2.9、下腿周径27.5±3.2、SPPBは2.4±3.0、握力は10.1±7.6であった。また、重回帰分析の結果から、SPPBに最も強く影響しているのはMNAであった(β=0.628、p<0.0001)。次いで、上腕周径(β=-0.427、p<0.001)、下腿周径(β=0.450、p<0.001)、BMI(β=-0.310、p<0.01)が有意な影響を示した。年齢、MMSE、握力はSPPBに有意な影響を与えなかった。また、共線性の診断を行ったところ、多重共線性の発生は見られなかった。
【考察】 結果よりMNAによる栄養状態がSPPBに最も強く影響していることが明らかになった。MNAはアルブミン値などの生化学検査項目との関連があり、死亡率との関連も報告されている。また、先行研究から栄養状態がADLに関連があることが報告されているが、本研究の結果から、低栄養状態が身体機能の障害を引き起こし、その結果ADLの障害を生じると考えられる。
【まとめ】 本研究では、施設入所者を対象として、栄養状態が身体機能に与える影響について検討した。その結果、MNAによる栄養状態がSPPBに最も強く影響していることが明らかになった。
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© 2012 東海北陸理学療法学術大会
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