東海北陸理学療法学術大会誌
第28回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: S-13
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主題演題
脳卒中片麻痺患者における端座位での麻痺側脚伸展筋出力とBerg Balance Scaleとの関係
*米田 嗣音土山 裕之山口 昌夫
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抄録
【目的】 近年、脳卒中片麻痺患者における麻痺側下肢の機能を定量的に評価し、歩行能力とADL能力の関連性が検討されている。しかし、その測定には高価な機器を使用していることが多く、測定できる臨床の現場は限られている。そのため、本研究では市販体重計を使用して麻痺側下肢の筋出力を定量的に評価し、歩行能力やADL能力と関連性が高いBerg Balance Scale(以下BBS)との関係を検討することとした。
【対象と方法】 対象は当院にて理学療法が処方された脳卒中片麻痺患者のうち麻痺側下肢のBrunnstrom Recovery Stage(以下BRS)が3以上であり、意識障害、認知機能低下、高次機能障害、運動器疾患を認めない30名である。対象者には書面にて研究の趣旨を説明し同意を得た。麻痺側脚伸展筋出力の測定方法は、村田らの方法に準じて45㎝の治療台に端座位をとり市販体重計を用いて行った。2回の練習の後、3回測定した。測定3回における平均値(㎏)と体重で除した値を麻痺側脚伸展筋出力(㎏f/㎏)として算出した。統計処理は、測定3回における麻痺側脚伸展筋出力の再現性を級内相関係数(以下ICC)を用いて検討した。また、対象者のBRS別による各麻痺側脚伸展筋出力の平均値の差とBBSの合計点の平均値の差をみるために一元配置分散分析および多重比較検定を行った。そして、麻痺側脚伸展筋出力とBBSの合計点の相関をみるためにPearsonの積率相関関係の検定を行った。なお有意水準は5%未満とした。
【結果】 対象者の麻痺側脚伸展筋出力の再現性をICCにて検討した結果、0.945であった。BRS別の麻痺側脚伸展筋出力は、BRS3群に比べてBRS4群とBRS5群はそれぞれ有意に高値を示した(P<0.05、P<0.01)。BBSの合計点においてもBRS3群に比べてBRS4群とBRS5群はそれぞれ有意に高値を示した(両者P<0.01)。またBRS4群に比べてBRS5群でも有意に高値を示した(P<0.05)。BRS3、4、5の各群において麻痺側脚伸展筋出力とBBSの合計点との間にはそれぞれ正の相関を認めた(BRS3:r=0.787、P<0.05、BRS4:r=0.822、P<0.01、BRS5:r=0.600、P<0.05)。
【考察】 端座位での麻痺側脚伸展筋出力の測定は立位が困難な患者においても可能であり、ICCの結果からも高い再現性が得られた。本研究の結果からBRSの向上にともない麻痺側脚伸展筋出力が高値を示す結果が得られた。これに関しては、運動麻痺の回復により2関節筋の共働運動で関節の固定性が得られ筋出力が向上したものと考える。また、各運動麻痺の回復段階における麻痺側脚伸展筋出力とBBSには正の相関を認めた。麻痺側下肢筋力とバランス能力の相関関係は諸家によって報告されており、本研究でもその関係性を支持する結果を得た。これらのことから、端座位での麻痺側脚伸展筋出力はバランス能力における麻痺側下肢の支持性を簡便に且つ定量的に評価できる手段の1つであることが示唆された。
【まとめ】 端座位にて市販体重計を使用した麻痺側脚伸展筋出力の評価は立位が困難な患者にも使用でき、対象範囲が広いことが特徴的であった。また、バランス能力における麻痺側下肢の支持性を定量的に測定ができることから理学療法の効果判定や目標設定に活用できるものと考える。
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© 2012 東海北陸理学療法学術大会
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