東海北陸理学療法学術大会誌
第28回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O-05
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一般口述
急性期病院におけるがんリハビリテーションの目標設定因子の検討
*河合 賢太郎黒嶋 由紀石原 祐子成田 誠安部 崇進藤 丈
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キーワード: がん患者, 目標, 予後予測
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抄録
【目的】 近年、がんが不治の病であった時代から、がんと共存する時代となり、がん患者に対するリハビリテーション(以下:リハ)のニーズはさらに高まってきている。当院では平成23年より、がん患者リハビリテーション料の算定を開始した。しかし施行していく中で、全身状態や倦怠感の増悪などからリハ意欲が低下し、リハの目標設定に苦慮する症例がみられた。病状に見合わない高い目標設定は、患者の肉体的・精神的苦痛となりかねないため、経過に応じたプログラム選択が必要であると考えた。そこで本研究では適切に目標を設定するために、予後とADLとの関係について検討し、予後予測の有用性について報告する。
【方法】 平成23年1月から平成24年5月にリハを実施した、進行がん・末期がんの入院患者57例(平均年齢68.4±10.3歳)を対象とした。リハ開始時Palliative Prognostic Index(以下:PPI)とリハ開始時からの生存期間、リハ開始時PPIとBarthel Index(以下:BI)の最大向上値について、またBIが向上した群(n=26)、BIが向上しなかった群(n=31)に分け、リハ開始時からの生存期間との関連性について、Mann-WhitneyのU検定、ROC曲線を用いて解析した。有意水準は5%未満とした。
【結果】 PPI>6の場合、3週以内に死亡の感度61%、特異度80%、PPI>4で6週以内に死亡の感度60%、特異度79%であった。PPI≦4, 4<PPI≦6, PPI>6における、BI最大向上値の平均はそれぞれ9.5±10.7, 10.7±17.6, 5.3±9.0であり、有意差は認められなかった。BIが向上しなかった群、BIが向上した群の生存期間のカットオフ値は感度、特異度を元に9週と算出された(感度82%、特異度87%)。生存期間が9週より短く、BIが向上した患者(n=6)の平均年齢58.7±8.3歳、BIが向上しなかった患者(n=28)の平均年齢は71.2±9.6歳であり、年齢に有意差が認められた。
【考察】 本来、PPIは緩和ケア病棟で開発されたツールである。当院は終末期であっても放射線・化学療法により、生存期間の延長や症状の緩和を目指しているケースが多く、浮腫、食欲不振などの副作用によってPPIの評価項目に影響が現れ、先行研究と比較し感度が低く評価されたと考えられる。生存期間の短い予後不良群ではADL向上は困難であり、よりQOL向上を目的とする必要があり、がん患者のリハでは、Impairment, Disability, Handicapの評価に加え、目標設定には生命予後の評価が大切であると考えられる。また、生存期間が短い場合でも、年齢が低ければ短期間で機能、能力が改善しやすくADLが向上する可能性がある。がん患者のリハにおいてADL向上を予測するには、治療内容の把握や予後予測の正確性が必要であり、またQOL向上には要望の把握が不可欠であるため、適宜情報収集しカンファレンスを行うなど、経過に応じて最善なプログラム選択をするためには多職種チーム医療が大切である事が示唆された。
【まとめ】 目標設定の因子として、予後とADLとの関係について検討した。予後予測が重要な因子であり、他職種チーム医療が大切である事が示された。
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© 2012 東海北陸理学療法学術大会
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