東海北陸理学療法学術大会誌
第28回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O-40
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一般口述
膝骨壊死症例において疼痛軽減に難渋した一症例
*大谷 綾乃川口 朋子森 健人浅野 僚太松井 真也村瀬 善彰
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キーワード: 骨壊死, 疼痛, 理学療法
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抄録
【はじめに】 膝関節顆部骨壊死症(Osteonecrosis of the knee:以下、ONK)は、突然の膝関節疼痛や歩行障害を生じ、進行すると手術治療の適応となることも多いため、理学療法の対象疾患として重要である。今回我々は、ONKと診断された症例において手術を視野に入れた外来理学療法という貴重な機会を得た。そして、疼痛軽減のための運動療法と超音波画像診断装置(以下、エコー)を用いた治療を併用し、経過を観察出来たので、臨床的に意義深いと考え、治療経過とともに若干の考察を加え報告する。尚、本報告は症例に趣旨を説明し同意を得た。
【症例紹介】 70歳女性。平成23年夏頃より、右膝内側に疼痛出現し、徐々に増大。その後、近隣の接骨院へ通院されるも疼痛軽減しないため、平成24年1月6日に当院受診されONKと診断された。膠原病、ステロイド使用歴、大酒家などの既往は認めなかった。
【初期評価】 腰野のX線分類にてStageIV。大腿周径差において約2~3㎝ほど右側の増大を認め、右膝に熱感・腫脹がみられた。痛みの検査はNumerical Rating Scale(以下、NRS)にて、立ち上がり・歩行時は7~8、膝関節の内側関節裂隙を中心とした圧痛は7~8。関節可動域(以下、ROM)は膝関節屈曲:右105P/左135、伸展:右-20/左-5。日整会の変形性膝関節症治療成績判定基準JOAスコアは右60点、左90点。歩行は杖歩行自立レベルであった。
【治療と経過】 腰野のX線分類でStageIVと手術適応となる症例であったが、手術には拒否的であり、理学療法と内服による治療が開始された。理学療法として膝関節周囲の疼痛軽減と、手術に向けた膝機能の維持を目的としたアプローチを施行した。しかしながら、右膝への荷重量軽減を目指した生活指導を継続するも、独居という背景もあり、疼痛の軽減には困難を要した。そこで、エコーを用いた指導による理学療法介入を試み、治療開始から2週目より、疼痛の軽減を認め、それに伴うROM拡大を徐々に確認することが出来た。
【考察】 ONKは、50歳以上の女性に多いとされ、病因や病態についてはいまだ十分な理解がなされていないのが現状であるが、軟骨下骨の脆弱性骨折による影響が有力視されている。病変部位や臨床症状から、変形性膝関節症に対する理学療法コンセプトに準じて筋力強化訓練やROM訓練を導入し実施した。それに加え、ONKは壊死部の荷重により圧潰・骨折を起こす可能性があり、現状では、最善かつ最大限の努力による可及的早期に壊死部の免荷、疼痛軽減を図っていくことが重要と考え、生活指導を重点に理学療法を開始した。介入当初、病態理解が不十分であり、生活習慣の是正に難渋したが、エコーによるフィードバックや指導などにより徐々に改善が見られた。しかし、本症例の社会的背景から活動量を抑えることは困難であり、十分な疼痛軽減は得られなかった。疼痛軽減の獲得にあたっては、治療内容とその反応状態、どのような経過をたどっているのか、また治療プロセスのどの状況に至っているのかなど、理学療法介入が全体の治療において、現時点で何を目的とすべきなのかを考えることが重要と思われた。
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© 2012 東海北陸理学療法学術大会
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