東海北陸理学療法学術大会誌
第28回東海北陸理学療法学術大会
セッションID: O-45
会議情報

一般口述
愛知県西三河南部東医療圏における 脳卒中地域連携パスby SCONEのアウトカム分析 ―急性期に経口摂取困難な脳卒中患者について―
*眞河 一裕小田 知矢小林 靖
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

【目的】 脳卒中は、高齢者に多く発症し、運動機能障害、ADLの低下、高次脳機能障害を認める。また、嚥下障害を併発している患者も多く、誤嚥性肺炎などの合併症の危険性を有する事が多い。脳卒中ガイドラインは早期よりリハビリテーション(以下リハビリ)を実施する事を提唱し、積極的なリハビリを立案する場合が多い。しかし、近年、リハビリ期間中の栄養アセスメントの視点からの文献も散見され、患者の栄養状態の把握が必要とされている。そこで、急性期治療中に経口摂取が行えず経管栄養となった患者の経過を脳卒中地域連携パスby SCONEを用いて調査しその特徴から今後の急性期リハビリの留意点および対応について検討した。
【対象】 2009年1月~2010年12月に当院から脳卒中地域連携パスby SCONEを適応し回復期病院へ転院した患者で、転院時に経管栄養の状態であった20例を対象とした。
【方法】 脳卒中地域連携パスby SCONEのデータを後方視的に調査した。
【結果】 2年間で脳卒中地域連携パスby SCONEを利用した患者は318例(バリアンス件数を除く)。医療圏内でのアウトカムとして急性期平均在院日数33.2日、回復期88.0日であった。FIMは回復期病院転院時77.5点、退院時102.5点であった。SIASは回復期転院時の非麻痺側運動機能は5.0点、退院時も5.0点。麻痺側運動機能はそれぞれ14.0点と20.0点であった。(データはいずれも中央値)経管栄養患者では急性期平均在院日数45.4日、回復期115.3日であった。FIMは回復期病院転院時24.5点、退院時32.5点であった。SIASは回復期転院時の非麻痺側運動機能は2.5点、退院時では3.0点。麻痺側運動機能はそれぞれ6.0点と14.0点であった。(データはいずれも中央値)
【結果のまとめ】 経管栄養患者は、回復期病院転院当初からFIM及びSAISが低値を示していた。しかし、回復期病院での積極的なリハビリにより麻痺およびADLの改善を認めた。全体に比べて急性期及び回復期での在院日数が延長した理由として不安定な病状や機能回復に時間が要した為と考えられる。治療のための活動制限を伴う入院期間の延長が二次的に廃用を助長していく可能性もある。この事から経管栄養患者に対する急性期のリハビリは非麻痺側の筋力低下の予防が特に必要であると考えられた。しかし、経管栄養患者の摂取エネルギー量は少ない傾向があり、強度な活動を伴う筋力訓練を行うことでかえって筋力は低下するといわれている。この事から特に経管栄養患者の栄養状態を考慮したリハビリが必要であると考えられた。
【結語】 今後、経管栄養患者のリハビリを実施するうえで廃用予防、特に非麻痺側の筋力訓練を中心に実施していく必要があると考えられた。それと同時に栄養アセスメントを行う事で、より効果的なリハビリが行え、機能予後の改善に寄与できるのではないかと考えられる。

著者関連情報
© 2012 東海北陸理学療法学術大会
前の記事 次の記事
feedback
Top