抄録
我々はこれまでに,イチジクの葉を加工した茶(イチジク茶)のアレルギー抑制効果を見出している.多くのイチジク品種には,プソラレンやベルガプテンといったフロクマリンが含まれており,高用量で摂取した場合は,シトクロムP450阻害や光毒性等の健康被害が懸念される.本研究では,イチジク茶の保存試験を実施し,フロクマリン含量およびアレルギー抑制効果の変動を検討した.殺菌あるいは未殺菌の茶液を4℃,30℃および55℃で12週間保存した結果,未殺菌30℃保存では,保存開始から4週目でフロクマリンが約2倍に増加し,培養細胞試験におけるアレルギー(脱顆粒)抑制効果は減弱した.他の試験区ではフロクマリン量は変化せず,脱顆粒抑制効果も維持された.フロクマリンが脱顆粒抑制効果に与える影響を評価した結果,120 ppm以上のプソラレンは脱顆粒を亢進した.フロクマリン増加機序を検討したところ,未殺菌試料で増殖した微生物がフロクマリン前駆物質を代謝することで生成した可能性が推察された.イチジク茶を保存する場合は,殺菌や低温保存など微生物の増殖を抑制する手段を講じることが望ましい.