Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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軟骨でのヒアルロン酸の役割
Kazu Matsumoto
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2010 年 22 巻 124 号 p. 57-67

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抄録

ヒアルロン酸はN-アセチル-DグルコサミンとD-グルクロン酸の2糖繰り返し構造からなる線状大分子ポリマー構造の分子である。ヒアルロン酸は非常に単純な構造を持っているが、その機能は、ヒアルロン酸の持つ物性そのものの機能だけでなく、ヒアルロン酸結合タンパクや特異的な細胞表面のレセプターを介して組織の統制や恒常性維持に重要な働きを演じている。
最近、我々は Prx1-Creトランスジェニックマウスを用いて Has2遺伝子肢芽特異的ノックアウトマウスを作成した。この総説では、我々が作製したHas2遺伝子肢芽特異的ノックアウトマウスの結果をもとに、軟骨でのヒアルロン酸の役割について述べる。我々はさらにヒアルロン酸、アグリカン、リンクタンパクからなるプロテオグリカン会合体についての生化学的・遺伝学的研究について、また、ヒアルロン酸の代表的な細胞表面レセプターであるCD44の役割についても簡潔に述べる。ヒアルロン酸は多くの機能が知られているが、ヒアルロン酸はどのように調節されているのか?ヒアルロン酸はどのように組織の恒常性を維持しているのか?など多くの疑問が残されている。我々はこの総説が、ヒアルロン酸の機能を考える上で重要な機会を提供し、その機能を理解する上での手助けになる事を願っている。

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© 2010 FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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