Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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ミニレビュー
レクチン活性におけるCa2+の関与:どのように?なぜ?
Hans-Joachim Gabius
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2011 年 23 巻 132 号 p. 168-177

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抄録

細胞表面上の糖鎖は、周囲の環境と意思疎通するための生化学的シグナルである。糖鎖情報は、レクチンとの最初の結合によって生物学的な応答として翻訳され、この認識過程は後に続くシグナル伝達の引き金となる。糖鎖-レクチン相互作用の特異性は、誤りの可能性を排除すべく優れたものである必要がある。この目的のために、Ca2+がタンパク質-糖鎖相互作用の世界に引き込まれたのだと思われる。興味深いことに適切な糖リガンドの特定を手助けするCa2+の戦略は一つだけではなく、異なった方法がとられる。この総説では、種々のレクチンの糖鎖結合ドメインにおいて不可欠な要素となっているCa2+の様々な機能について解析する。Ca2+の役割は、リガンドとは直接相互作用せずに接触部位の構造を形作ることから、電荷をもつリガンドや中性糖リガンドと直接相互作用することにまで及んでいる。最後に、ガラクトース-Ca2+間の最大4つの配位結合からなる複雑なネットワークについて述べる。

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© 2011 FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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