Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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α-D-グルコース1-リン酸アナログ基質を用いるα-グルカンホスホリラーゼによる酵素的グリコシル化を利用した非天然型オリゴ糖の合成
Jun-ichi Kadokawa
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2013 年 25 巻 142 号 p. 57-69

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抄録

非天然型のオリゴ糖は、糖鎖科学において新しい機能や応用を発現することが期待されている。そのような研究において酵素的グリコシル化反応は構造明確なオリゴ糖を得る有力な手法である。例えば、α-(1→4)-グルコシド結合は、α-D-グルコース1-リン酸(Glc-1-P)をグリコシル供与体に用いるα-グルカンホスホリラーゼを触媒とする酵素的グルコシル化によって構築できる。この酵素は、ある程度の基質認識の緩さを有しているので、Glc-1-Pのアナログ基質を用いるα-グルカンホスホリラーゼによるグリコシル化反応の開拓は新規な非天然型オリゴ糖を得る有力な手法である。上記の観点から、本総説では、このようなアナログ基質、すなわち種々のヘキソース1-リン酸をグリコシル供与体に用いたα-グルカンホスホリラーゼによる酵素的グリコシル化反応による非天然型オリゴ糖の簡便な合成について紹介する。α-D-キシロース、α-D-マンノース、2-デオキシ-α-D-グルコピラノース、3-あるいは4-デオキシ-α-D-グルコース、α-(N-ホルミル)-D-グルコサミンおよびα-D-グルクロン酸1-リン酸がグリコシル供与体としてα-グルカンホスホリラーゼに認識されることでマルトオリゴ糖(グリコシル受容体)の非還元末端への対応する糖残基の転移反応が起こり、非天然型のオリゴ糖が得られることが見いだされた。このようなことから、α-グルカンホスホリラーゼ触媒による異なった糖残基を非還元末端に有する新しいオリゴ糖鎖の構築は非天然型糖素材の新しい応用開拓につながると考えられる。

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© 2013 FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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