2013 年 25 巻 142 号 p. 71-81
生体内でアルドール縮合反応を可逆的に触媒するアルドラーゼのなかで、フルクトース1,6-ビスリン酸アルドラーゼ(FBPA)は、古典的な研究では二つの類型に分けられる。近年、生命の起源に関連すると考えられる古細菌や超好熱菌などが独立栄養で生育するときに糖新生系で働く酵素としてFBPAを探索し直したところ、古典的類型には当てはまらないFBPAがあいついで発見された。とりわけ、新規な二機能性酵素FBPA/Pの微細構造変換の発見は「一酵素一反応」の常識を破るものである。これらのFBPAの研究について概括する。