Trends in Glycoscience and Glycotechnology
Online ISSN : 1883-2113
Print ISSN : 0915-7352
ISSN-L : 0915-7352
ミニレビュー
NK免疫に対するコア2O-グリカンの免疫抑制機能
Shigeru Tsuboi
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 25 巻 143 号 p. 117-123

詳細
抄録

O-グリカンに分枝構造を導入する糖転移酵素、コア2β-1,6-N-アセチルグルコサミン転移酵素(C2GnT)は、細胞表面の糖タンパク質のO-グリカン上に、β-1,6-リンケージを持つN-アセチルグルコサミン分枝を形成する(コア2O-グリカン)。以前から、コア2O-グリカン形成の鍵となるこのC2GnTの発現ががんの高転移性と相関関係を持つことが、さまざまながん種で報告されてきた。最近になって、C2GnT発現がん細胞が、細胞表面のコア2O-グリカンを利用して、NK細胞免疫に対する免疫抑制機能を発揮し、その結果、高い転移能を獲得していることが明らかになった。C2GnT発現がん細胞は、分子シールド機能、および、腫瘍リガンド・マスキング機能の二つのタイプの免疫抑制機能を持っている。本総説では、コア2O-グリカンのこれら免疫抑制機能の分子メカニズムについての最近の進歩に焦点を絞って概説する。

著者関連情報
© 2013 FCCA(Forum: Carbohydrates Coming of Age)
前の記事 次の記事
feedback
Top