天然のヘテロ多糖類であるペクチンは、細胞壁成分であり、すべての陸生植物に保存されている。ペクチンは、ガラクツロン酸残基とラムノース、ガラクトース、アラビノースといったさまざまな中性糖から構成されている。野菜や果物を食べると、体内において食物繊維としてはたらくペクチンを必ず食べていることになる。食物繊維は、ヒトにさまざまな生理機能をもたらすが、ペクチンもまた、水溶性食物繊維として、たくさんの生理機能を担っていることが報告されている。その多くは、ヒト小腸において消化吸収を受けない食物繊維として大腸まで達した後に、腸内細菌によって代謝され生産される二次代謝産物によるところである。食物繊維に関連する健康上の利点に加えて、ペクチンの新しい生理機能、特に小腸の形態変化を引き起こすという生物活性が注目されている。この総説では、ペクチンの構造とその生理機能、そしてプレバイオティクスとしてだけではなく、生理活性物質として機能する可能性について議論したい。