Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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複合型N-グリカンの効率合成:マイクロフロー系の利用と収束的合成ルートの開拓
真鍋 良幸
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2019 年 31 巻 182 号 p. J99-J108

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抄録

タンパク質のアスパラギンに対する翻訳後修飾糖鎖であるN-グリカンは多様な構造を持ち、その構造に基づきタンパク質の機能を制御する。我々はN-グリカンの機能発現の分子基盤解明のために、その化学合成を行った。本研究では、コアフコース含有12糖およびバイセクティングGlcNAc含有8糖を合成した。我々のN-グリカン合成の特徴は、マイクロフロー反応を用いたフラグメントの実用的な供給、および収束的な合成ルートによるN-グリカン骨格の効率的な構築である。まず、マイクロフロー系でのα-シアリル化、β-マンノシル化、N-グリコシル化を検討した。これらの反応は厳密な反応条件の制御が必要であるが、マイクロフロー系を用いることで、大量に、再現性良く目的のグリコシル化体を得ることができた。さらに、ここで合成したフラグメントを収束的な合成ルートでカップリングし、糖鎖骨格を構築することで、短工程でのN-グリカンの合成に成功した。この際、反応性の低い大きなフラグメント間のグリコシル化をいかに効率よく進めるかが鍵となった。我々は、アミド基(NHAc)が分子間水素結合を形成して、反応性を下げており、これをイミド(NAc2)保護することで、グリコシル化の反応性が大幅に向上することを見出した。また、エーテル溶媒を用いて中間体カチオンを配位安定化することで、低反応性のグリコシル化においても、高収率で目的物を得ることができた。加えて、保護基パターンの精査により、立体選択性の向上にも成功した。

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© 2019 FCCA (Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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