Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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グライコレビュー(日本語)
グラム陰性菌のリポ多糖:生合成と化学構造
Ståhle JonasWidmalm Göran
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 31 巻 184 号 p. J157-J168

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抄録

ほとんどのグラム陰性菌は、外膜の外葉に存在するリポ多糖(LPS)によって覆われている。現在、LPSのO抗原の合成は、シンターゼ、Wzk、ABCトランスポーター、Wzx/Wzy依存的な経路の4経路が報告されている。このうち後の2つはEscherichia coliでO抗原多糖を合成するのに使用されている。NDP糖の単糖は、糖転移酵素が細胞質で糖残基同士を結合する際に用いられている。生合成経路によって、O抗原合成が細胞質で起こるもの(ABCトランスポーター経路)と、ペリプラズムで起こるもの(Wzx/Wzy依存的経路)がある。後者の場合は、内膜に存在するオリゴ糖が、この機構のためにペリプラズム側に反転する。O抗原の側鎖形成のための糖鎖付加もペリプラズムで起こる場合がある。O抗原の重合度はモード分布を示すように制御されており、最も適切な鎖長付近の狭い分布となる。その後、O抗原はリピドAコアと結合してLPSを形成し、LPS輸送系(Lpt)の一部としてATP駆動型の機構によってペリプラズムを横断して輸送される。NDP糖の単糖経路と糖転移酵素機能の予測を用いて、多糖の未同定NMRデータとバイオインフォマティクスデータからCASPERプログラムによってO抗原構造を迅速に解明する方法を示す。

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© 2019 FCCA (Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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