Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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GPIアンカー型タンパク質のGPI糖鎖の質量分析による構造解析
中ノ 三弥子
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2023 年 35 巻 207 号 p. J82-J86

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抄録

グリコシルホスファチジルイノシトール(Glycosylphosphatidylinositol, GPI)アンカー型タンパク質(GPI-APs)とは、細胞膜上の糖脂質(GPI)によりアンカーされている一群のタンパク質であり、真核生物において広く存在している。GPI部分は、ホスファチジルイノシトール、グルコサミン、3つのマンノース、そしてエタノールアミンリン酸を基本構造とし、この基本構造と、それを介したタンパク質の膜へのアンカーの仕組みは、生物間でよく保存されている。発作性夜間ヘモグロビン尿症を初め、GPIアンカー欠損症が次々と見いだされている。これらの疾患を理解するためにも、GPIアンカーの生合成、つまり、糖鎖と脂質のリモデリング過程を知ることは大変重要である。本稿では、リモデリング過程を観察するために、リモデリングを触媒する酵素をコードする遺伝子をノックアウトした出芽酵母の変異株と、GPI-APsのモデル分子を用いて、GPIアンカー中の糖鎖の構造を液体クロマトグラフィー-エレクトロスプレーイオン化質量分析(LC-ESI MS)により分析・解析する方法を紹介する。

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© 2023 FCCA (Forum: Carbohydrates Coming of Age)
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