Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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分化・成長中の植物細胞に存在する遊離N-グリカンの構造特性と植物エンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼの機能特性
Yoshinobu Kimura
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2000 年 12 巻 64 号 p. 103-112

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抄録

分化・成長中の植物細胞 (実生胚軸、登熟期種子) 中には、1個のN-アセチルグルコサミン残基を有するハイマンノース型糖鎖と還元末端側にN-アセチルキトビオース単位を有する植物複合型糖鎖が遍在している。これらの糖鎖の還元末端側の構造を考慮すると、ハイマンノース型糖鎖および植物複合型糖鎖は、それぞれエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ (ENGase) およびペプチド: N-グリカナーゼ (PNGase) により生じたものと考えられる。遊離型のアスパラギン結合型糖鎖 (N-グリカン) の植物生理学的な意義については、最近トマトの果実熟成におけるオーキシン様シグナル分子としての機能が推定されてきており、糖鎖の新たな生理機能の観点からも興味が持たれる。この総説では、植物細胞に存在する遊離型N-グリカンの構造特性と推定機能についての知見を、エンドグリコシダーゼの機能特性と関係づけながら述べる。

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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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