Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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12 巻, 64 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • Willy J. Peumans, Annick Barre, Qiang Hao, Pierre Rougé, Els J. ...
    2000 年 12 巻 64 号 p. 83-101
    発行日: 2000/03/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    多くの植物にレクチンとして知られる糖結合タンパクが含まれている。性質の決定とクローニングや構造解析における近年の進歩により、植物レクチンを構造的、進化的に近縁の7つのタンパクファミリーに分類することができるようになった。それぞれのレクチンファミリーでは、全体的な折りたたみ構造や糖結合部位の構造が保持されている。構造が保持されていることで、アマランチン、hevein ドメインをもつキチン結合レクチン、ウリ科筋部レクチン、単子葉植物のマンノース結合レクチンや2型リボソーム不活化タンパクのファミリー内のレクチンにおいてはかなり特異性が類似している。ジャカリンと近縁のレクチンファミリーには2つの構造的に類似した結合部位でも特異性の違いがあり、また、豆科レクチンファミリーでは1つの構造が幅広い特異性をもつ結合部位の形成を可能にしている。植物レクチンの構造/特異性の相関関係の解析により重要な結論が導き出されている。第一に、ほとんどのレクチンファミリーは特異性がよく保存されている点。第二に、いくつかの糖が、複数の構造的に異なった糖結合モチーフにより認識されている点。第三にマンノース、キチンやGal/GalNAcに対する複数の結合モチーフの発達から、これらグリカンを感知する植物システムの重要性に興味がもたれるという点である。精細な特異性の研究によりほとんどの植物レクチンは植物由来の糖を標的とするのではなく、外来のグリカンと優先的に結合することが示されている。
  • Yoshinobu Kimura
    2000 年 12 巻 64 号 p. 103-112
    発行日: 2000/03/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    分化・成長中の植物細胞 (実生胚軸、登熟期種子) 中には、1個のN-アセチルグルコサミン残基を有するハイマンノース型糖鎖と還元末端側にN-アセチルキトビオース単位を有する植物複合型糖鎖が遍在している。これらの糖鎖の還元末端側の構造を考慮すると、ハイマンノース型糖鎖および植物複合型糖鎖は、それぞれエンド-β-N-アセチルグルコサミニダーゼ (ENGase) およびペプチド: N-グリカナーゼ (PNGase) により生じたものと考えられる。遊離型のアスパラギン結合型糖鎖 (N-グリカン) の植物生理学的な意義については、最近トマトの果実熟成におけるオーキシン様シグナル分子としての機能が推定されてきており、糖鎖の新たな生理機能の観点からも興味が持たれる。この総説では、植物細胞に存在する遊離型N-グリカンの構造特性と推定機能についての知見を、エンドグリコシダーゼの機能特性と関係づけながら述べる。
  • Takeshi Yamaguchi, Yuki Ito, Naoto Shibuya
    2000 年 12 巻 64 号 p. 113-120
    発行日: 2000/03/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    糸状菌細胞壁の構成成分であるキチンのオリゴ糖の特定サイズのものはイネの培養細胞に対して強いエリシター活性を示すだけではなく、単子葉植物を中心に広い範囲の植物でエリシターとして認識されることが示唆されている。筆者らは最近、イモチ病菌細胞壁グルカンの酵素分解物からイネ培養細胞に対して強いエリシター活性を示す1種のグルコペンタオースを精製し、その構造を明らかにした。その結果、イネとダイズは異なる構造のグルカン断片をエリシターとして認識していることが示唆された。植物病原菌の感染に対する防御反応の多くが、エリシター処理によっても再現できることから、防御関連遺伝子発現に至るシグナル伝達過程を解析する優れたモデル系として、多くの研究が行われている。エリシターシグナルの受容と伝達に関与する受容体分子を同定し、その性質を調べることはシグナル伝達機構を解明する上できわめて重要である。筆者らはこれまでに、キチンオリゴ糖エリシターの受容体候補として、イネ培養細胞原形質膜上に存在する75kDaのエリシター結合タンパク質を同定しこれを精製した。このタンパク質およびβ-グルカンエリシター結合タンパク質の構造と性質を調べることにより、これらのオリゴ糖エリシターがイネやその他の植物でどのように認識・伝達されていくか、また、こうした認識・応答系がどのように進化してきたかなどについての知見が得られるものと期待される。
  • Jianhui Rong, 土田 和徳, 菅原 一幸
    2000 年 12 巻 64 号 p. 121-127
    発行日: 2000/03/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    ヘパリンとヘパラン硫酸 (HS) は高度に硫酸化された直鎖の多糖であるグリコサミノグリカン (GAG) の一種である。ヘパリンは主に結合組織型の肥満細胞で産生されるが、HSはほとんどの細胞によって合成される。最近、ヘパリン/HSはその多様な生物的機能や病気との関連でその関心が高まっており、実際に血液凝固、細胞接着、増殖因子によるシグナリング、ウイルス感染などの様々な生物学的過程の調節に関与すると考えられている (1)。ヘパリン/HSの生物学的機能は、プロテアーゼ、プロテアーゼインヒビター、増殖因子、細胞外マトリックスの構成成分、ウイルスタンパク質などの様々なタンパク質との相互作用に大きく依存している (2)。一般的に十糖以下であるが、特定の構造を持つ活性ドメインが、対応する個々のタンパク質との特異的な結合に必要である場合がいくつか知られている。さらに、ヘパリン/HS鎖は同一あるいは異なる二つ以上のタンパク質と複合体を形成すると考えられる。生物学的応答を引き起こすためには、これらの多糖鎖中の活性ドメインは正しく配置されていなければならない。
    ヘパリン/HSの極めて多様な構造が複雑な生合成経路を経て作りだされる (3)。まず、D-グルクロン酸とD-グルコサミンとのくり返し二糖単位からなる前駆体多糖 ([GlcA-GlcNAc]n) が形成されて、ヘパリン/HSの生合成が開始される。この多糖鎖は伸長していく間に、GlcNAcのN-脱アセチル化/N-硫酸化、GlcAからイズロン酸 (IdoA) へのC5位のエピメリ化、イズロン酸のC2位とGlcNのC6位のO-硫酸化を含む一連の反応によって修飾される。また、GlcAのC2位やGlcNのC3位もまれに硫酸化される場合があり、生物学的に重要であることが分かってきた。HS生合成に関与するほとんどの酵素はクローニングされ、分子生物学的な性質が詳細に明らかにされている。興味深いことに、これらの酵素のうちのいくつかは基質特異性の異なる数種のアイソフォームとして存在している (2、4、5)。
    本学位論文では、ヘパリン/HSの生合成経路、構造と生物活性の相関関係に関して、次のような二つの具体的な問題をとり上げた。一つ目は、ヘパリン/HSの生合成過程においてGlcAやIdoAの2-O-硫酸化が、どのように行われるのかということ、二つ目は、異なる糖鎖ドメインが生物活性を発揮するにはどのように配置されていなければならないかということである。
  • Mineo Hashizume
    2000 年 12 巻 64 号 p. 129-133
    発行日: 2000/03/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
  • 「実験が失敗したら大喜びしなさい」
    Ken-ichi Kasai
    2000 年 12 巻 64 号 p. 135-141
    発行日: 2000/03/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
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