Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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ヒト適応型糖タンパク質を生産する出芽酵母の分子育種
Ken-ichi NakayamaYasunori ChibaYoshifumi Jigami
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2001 年 13 巻 72 号 p. 421-431

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抄録
出芽酵母 Saccharomyces cerevisiae は、遺伝子操作や培養が容易な真核生物であり、有用タンパク質などの分泌発現系としては優れたものである。しかしながら、糖タンパク質の生産においては、マンノース30-100残基という大きな糖外鎖がN-結合型糖鎖に結合することから、ヒトに対する抗原性の付与やタンパク質の活性低下などの問題を引き起こしている。我々は、この酵母のN-結合型糖外鎖の除去及び哺乳類型糖鎖合成に必要な遺伝子の酵母への導入を行い、ヒトに適合できる糖タンパク質を生産可能な酵母の分子育種を行ってきた。この研究において、我々は、酵母の大きな糖外鎖を形成するのに必要なマンノース転移酵素をコードするOCH1遺伝子の単離と破壊に成功すると共に、同じく酵母特有のマンノースリン酸転移に関わる遺伝子MNN4MNN6の単離と破壊に成功した。このことにより、ほぼ完全に酵母特有の糖外鎖の形成を取り除くことに成功した。さらに、哺乳類型糖鎖の、混成型や複合型糖鎖を酵母で合成可能とするために、様々な糖転移酵素、糖分解酵素、糖ヌクレオチド輸送体などの遺伝子の単離と酵母での発現を試みてきた。その成果をここに紹介する。
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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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