Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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洗剤用α-アミラーゼのタンパク質工学
Kazuaki IgarashiHiroshi HagiharaSusumu Ito
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2003 年 15 巻 82 号 p. 101-114

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抄録

我々は、アルカリセルラーゼ、アルカリα-アミラーゼ、アルカリプロテアーゼの大規模生産を行い、衣料用コンパクト洗剤や漂白剤に利用してきた。初期に使用されてきた洗剤用酵素は、特に自動食器洗浄機中で使用される際には、酸化剤やキレート剤等の洗剤組成物によって簡単に失活し、また、熱に不安定であることが問題であった。
我々は、好アルカリ性細菌 Bacillus sp. KSM-1378株が生産するアルカリ液化型α-アミラーゼAmyK(以前LAMYとして報告した)を見い出した。AmyKは今まで報告された他の産業用アミラーゼに比べ、アルカリpHで高い活性を示し、種々の界面活性剤に対して耐性を示した。しかしながら、AmyKはBacillus licheniformis 由来のα-アミラーゼ(BLA)よりも熱安定性が低く、自動食器洗浄機中でのアルカリおよび高温条件下において使用するために、AmyKの熱安定性の向上が求められた。さらに、AmyKと他の Bacillus 属のα-アミラーゼはいずれも酸化剤よって失活し易い。そこで、我々は、部位特異的変異によって酸化剤耐性を獲得したアルカリプロテアーゼの知見を参考に、AmyKの Met 残基を酸化され難い他のアミノ酸に置換することにより、酸化剤安定性の向上した変異体の取得を試みた。
本論文ではAmyKの性質とアミノ酸配列、部位特異的変異による熱安定性および酸化剤安定性の向上について記載する。

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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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