Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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タンパク質工学をもちいた澱粉分解酵素の性質改良
Douglas W CrabbJay Shetty田治 襄
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2003 年 15 巻 82 号 p. 115-126

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抄録

酵素やタンパク質の性質変換は、最初にこの技術が紹介された1970年代後半から1980年代前半以来、学問的および産業的分野の双方で比較的日常的に行われるようになってきている。部位特異的変異や三次元構造分析を基盤にした分子設計の元々の手法は、目的部位への変異の導入、相同性を基盤にしたアミノ酸残基の探索、および in vivoin ivtro での遺伝子の組換えにまで広がりをみせている。遺伝子クローニングや操作のためのPCR法の出現は、変異タンパクを設計する能力を飛躍的に向上させたが、更にその工程での時間の浪費を少なくした。既存のタンパク質に、何百万ではないにしろ、何千という変異を導入する能力、ロボットによる操作やスクリーニング・システムの急速な発展に加えて、我々はタンパク質の設計に革命的な変異の基礎を手に入れた。全てのこの能力にもかかわらず、いまだ商業的なタンパク質工学のプロジェクトの成果は三つの全く簡単な基本的原則に基礎をおいている。まず第1に、我々は酵素が使われる現実の応用条件と、これらの条件が酵素作用の改良で実際の構成要素となるものを如何に規定するかについて明確に理解しなければならない。第2に、我々は改良された性質が製造工程の価値として何を顧客にもたらすかを定量できなければならない。そして第3に、しかし明らかにこれのみではないが、新製品の実際の商業化を促進する又は阻害する重要な商業化の要素を理解しなければならない。これら三つの質問は、顧客のニーズは? どのような価値を顧客にもたらすか?そして、価値が皆に理解できるように如何に顧客にその製品を納入できるか? という非科学的用語として述べることができる。これら三つの質問は、改良された澱粉分解酵素を澱粉工業会向けに応用する際に以下のような議論の基礎をなしている。

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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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