Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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糖-アミノ酸ハイブリッドとその生理活性ペプチドへの応用
Frank Schweizer稲津 敏行
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2003 年 15 巻 86 号 p. 315-328

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抄録

糖-アミノ酸ハイブリッドは単純なアミノ酸の構造特性と単純な糖の構造特性を併せ持つ分子である。このハイブリッドは高度に置換された多官能性のビルディングブロックであり、糖ミメティック、人工アミノ酸、人工ペプチドとしての用途が期待される新規物質を創製するのに用いられる。糖-アミノ酸ハイブリッドは天然にも種々の形で存在し、いくつかの抗生物質、抗ウイルス剤、抗菌剤の成分である。非天然型の糖-アミノ酸ハイブリッドは、糖由来の5員環もしくは6員環スキャフォールドをアミノ酸の側鎖に組み込むことにより合成できる。糖部分をさらに改変すれば、ハイブリッド体の物理的および力学的特性を調節可能である。ペプチドのアミノ酸ビルディングブロックを糖-アミノ酸ハイブリッドで置換すれば、合成ペプチドに糖結合部位を組み込むことができる。これは、酵素によるタンパク質分解、分子輸送能の低さ、非選択的レセプター認識といった、ペプチドを基にしたドラッグデザインの欠点を克服する有用な手段になり得る。

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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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