Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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微生物による光学活性グリセロール誘導体の創出
有用な医薬合成ユニットの開発をめざして
Toshio SuzukiNaoya Kasai
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2003 年 15 巻 86 号 p. 329-349

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抄録

本総説では光学活性C3, C4合成ユニットの生産に向けた微生物光学分割法の研究開発に関して既述した。光学活性C3, C4合成ユニットは現在では主にさまざまな医薬品や液晶などの新素材への用途が開かれている。そこで我々は高光学純度(>98%ee) を持つ有用、かつ汎用的なC3合成ユニットとして光学活性2,3-dichlolo-1-propanol (DCP*)、epichlorohydrin (EP*)、そして glycidol (GLD*)、さらにその前駆体化合物である3-chloro-1,2-propandiol (CPD*) の生産プロセスを開発した。さらに高光学純度 (>98%ee) を持つ光学活性C4合成ユニットである4-chloro-3-hydroxybutyronitrile (BN*), 4-chloro-3-hydroxybutyrate (CHB*), 3-hydroxy-γ-butyrolactone (HL*) の生産についても検討を行った。一方、これら微生物分割に関与する脱ハロゲン化酵素の数種について単離・精製ならびに本脱クロル化酵素の諸性質について検討を行つた。今回単離を行った脱ハロゲン化酵素は2種類で、それぞれデヒドロゲナーゼとカルボン酸エステル分解酵素活性を示すことが明らかとなった。さらに、それぞれの脱ハロゲン化酵素を用いることにより光学活性1,2-ジオールならびにα-,β-ヒドロキシカルボン酸エステルの生産に応用できることが判明した。

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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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