Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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無脊椎動物の糖脂質糖鎖の多様性
Saki ItonoriMutsumi Sugita
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2005 年 17 巻 93 号 p. 15-25

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抄録

無脊椎動物、特に前口動物の節足、環形、軟体、線形、腕足、苔虫、および扁形動物のスフインゴ糖脂質の糖鎖構造について、当研究室の研究を中心に紹介する。スフインゴ糖脂質は、陰イオン交換樹脂への親和度の差によって中性、酸性、極性、両性イオン型に分画している。中性糖脂質には、脊椎動物に見られるGlc、Gal、GlcNAc、GalNAcおよびFucに加え、Mollu系あるいはArthro系に代表されるManを含有する糖脂質群が存在し、さらにXylおよび種々のO-methyl糖を含有する糖脂質が存在する。前口動物の酸性糖脂質には、ガングリオシドは検出されていないが、ウロン酸あるいはリン酸イノシトールを含有する糖脂質群が存在する。極性糖脂質としては、ホスホエタノールアミンあるいはアミノエチルホスホン酸を含有する糖脂質群が存在する。両性イオン型糖脂質としては、ホスホコリン含有糖脂質群が存在する。スフインゴ糖脂質が分析されている動物種は少ないので、さらに研究を進めることで糖脂質を利用した分子系統学によって動物種の分類につなげていきたいと考えている。

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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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