Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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細菌由来のシアル酸転移酵素
Takeshi YamamotoYoshimitsu TakakuraHiroshi Tsukamoto
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2006 年 18 巻 102 号 p. 253-265

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抄録

化学合成法によるグリコシル化は、糖転移酵素を用いる方法と比較して広い適応性があり、高い柔軟性があるという利点がある。しかしながら、化学合成法によるグリコシル化は、保護・脱保護が必要なことからその工程が必然的に煩雑となるという問題がある。
一方、糖転移酵素を用いるグリコシル化は、反応が一段階で終了し、反応収率が高く立体特異性も高い。しかしながらこれまでは反応に用いる糖転移酵素の種類が限られているという問題があったが、微生物由来の各種糖転移酵素に関する研究の進展により、糖鎖合成/糖鎖修飾に使用可能な酵素の種類は増加しつつある。一方、糖転移酵素の糖供与体基質である糖ヌクレオチドが非常に高価であるという問題も、様々な研究開発により徐々に解決されつつある。
シアル酸は複合糖質糖鎖の非還元末端に存在することが多い糖であり、シアル酸を含む複合糖質が生体内で様々な役割を有していることが多くの研究により示されている。シアル酸転移酵素を用いるシアリル化は、反応の最終段階において、簡便かつ温和な条件でシアル酸を目的物に導入することが可能な方法である。そのために安定で大量調製が可能な細菌由来のシアル酸転移酵素は、最も需要の高い糖転移酵素の一つと考えられている。

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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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