Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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18 巻, 102 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • Yukiko Kamiya, Koichi Kato
    2006 年 18 巻 102 号 p. 231-244
    発行日: 2006/07/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    細胞内における糖タンパク質の運命は糖鎖とそれを認識する様々な細胞内レクチンとの相互作用を通じて決定されていることが明らかとなりつつある。これらの細胞内レクチンは、分子シャペロン、カーゴレセプター、ユビキチンリガーゼなどとして機能している。最近、糖鎖ライブラリーの充実と構造生物学的研究が進展したことにより、細胞内レクチンによる糖鎖の認識および糖タンパク質の品質管理の仕組みに関する知見が蓄積されてきている。本稿では、細胞内における糖タンパク質のフォールディング、輸送、分解を制御している細胞内レクチンによる糖鎖認識の分子基盤について解説する。
  • Shinya Yamaguchi, Jun Ohnishi, Isafumi Maru, Yasuhiro Ohta
    2006 年 18 巻 102 号 p. 245-252
    発行日: 2006/07/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    我々は、N-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)及びN-アセチル-D-マンノサミン(ManNAc)の新規大量製造法を開発した。Neu5Acの製造は、N-アセチル-D-グルコサミン(GlcNAc)とピルビン酸を基質とし、N-アセチルノイラミン酸リアーゼ(Neu5Acリアーゼ)を用いて、化学-酵素合成及び酵素合成の二種類の方法で行った。GlcNAcからManNAcへのエピメリ化は、アルカリ条件下またはN-アシル-D-グルコサミン2-エピメラーゼの反応を用いる方法により実施した。また、我々はNeu5AcからManNAcの製造法も確立した。Neu5Acを完全に分解するため、陰イオン交換樹脂上でのNeu5Acリアーゼ反応によるNeu5AcのManNAc及びピルビン酸への分解について検討した。これらの方法は簡易で工業的規模でのNeu5Ac及びManNAcの大量製造に適しており、医薬品開発原料としての利用が期待される。
  • Takeshi Yamamoto, Yoshimitsu Takakura, Hiroshi Tsukamoto
    2006 年 18 巻 102 号 p. 253-265
    発行日: 2006/07/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    化学合成法によるグリコシル化は、糖転移酵素を用いる方法と比較して広い適応性があり、高い柔軟性があるという利点がある。しかしながら、化学合成法によるグリコシル化は、保護・脱保護が必要なことからその工程が必然的に煩雑となるという問題がある。
    一方、糖転移酵素を用いるグリコシル化は、反応が一段階で終了し、反応収率が高く立体特異性も高い。しかしながらこれまでは反応に用いる糖転移酵素の種類が限られているという問題があったが、微生物由来の各種糖転移酵素に関する研究の進展により、糖鎖合成/糖鎖修飾に使用可能な酵素の種類は増加しつつある。一方、糖転移酵素の糖供与体基質である糖ヌクレオチドが非常に高価であるという問題も、様々な研究開発により徐々に解決されつつある。
    シアル酸は複合糖質糖鎖の非還元末端に存在することが多い糖であり、シアル酸を含む複合糖質が生体内で様々な役割を有していることが多くの研究により示されている。シアル酸転移酵素を用いるシアリル化は、反応の最終段階において、簡便かつ温和な条件でシアル酸を目的物に導入することが可能な方法である。そのために安定で大量調製が可能な細菌由来のシアル酸転移酵素は、最も需要の高い糖転移酵素の一つと考えられている。
  • Toshisuke Kawasaki, Hiromi Nakao, Eriko Takahashi, Tomoko Tominaga
    2006 年 18 巻 102 号 p. 267-272
    発行日: 2006/07/02
    公開日: 2010/01/05
    ジャーナル フリー
    糖鎖はライフサイエンスとバイオテクノロジーの様々な分野において、ますますその重要性が認められてきている物質です。その糖鎖の発現と機能解明に最も有効な手段が、古くより使われている糖鎖認識ポリクローン抗体であり、最近のモノクローン抗体です。GlycoEpitope は、糖鎖抗原とそれを認識する抗体に関する情報を集約した総合的なデータベースであり、最先端の糖鎖生物学者らの協力を得て構築され、立命館大学糖鎖工学研究センターより公開されています。本データベースは、糖鎖抗原(糖鎖エピトープ) を発現する糖タンパク質、糖鎖エピトープを部分構造とする糖脂質、エピトープの合成や分解に関与する生合成酵素および分解酵素、糖鎖エピトープの発現の時期・場所、糖鎖エピトープの関連する疾病、糖鎖認識抗体の入手先など豊富な情報を取り揃えています。また、糖鎖研究者のみならず、糖鎖に関心を持つライフサイエンス領域の幅広い研究者を対象とし、利用者が求めるエントリーに容易に到達できるよう、自由度の高い検索条件を提供しています。ここでは、本データベースに格納されている情報および使い方について紹介します。
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