Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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Glycosurgery による糖鎖の機能解析法
R.C. HuntM.H. Hoe千葉 靖典
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1993 年 5 巻 24 号 p. 235-249

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抄録
細胞の表面や分泌型タンパク質は、N-グリコシドまたはO-グリコシド型糖鎖によって修飾されているが、多くの場合その機能についてははっきりしていない。タンパク質のグリコシル化の機能については、まず初めは酵素阻害剤やグリコシダーゼ、そして糖付加あるいは修飾酵素に異常のある変異細胞を用いて研究された。より最近になると特定部位の突然変異誘発の技術により、あるタンパク質の特定の糖鎖をターゲットにすることができるようになった。N-グリコシド型糖鎖の欠損は、往々にしてジスルフィド結合のかけちがいにつながったり、タンパク質の異常なコンフォメーションに基づくと考えられる凝集塊の形成を導いたりする。ミスフォールディングを起こしたタンパク質は小胞体に蓄積され分解されてしまうものもある。N-グリコシド型糖鎖を欠損したレセプターの多くはそのリガンドと結合できなくなるが、これもまたミスフォールディングによるものであると思われる。遺伝子の部位特異的変異による研究から、個々の糖鎖が、糖タンパク質においてそれぞれ違った役割を持っている可能性があること、また特定のある糖鎖はタンパク質が正しい高次構造をとるために主要な役割を果たしている可能性があることが示された。いったん正しい高次構造をとってしまえば、糖鎖の必要性はなくなるようである。糖タンパク質におけるO-グリコシド型糖鎖の役割については、依然はっきりしていないが、その欠損は培養細胞におけるタンパク質の生産にはほとんど影響しないようで、O-グリコシド型糖鎖は多細胞の状況でのみ重要な役割を果たしているようである。
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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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