抄録
症例は50歳, 男性. 7年前に糖尿病を指摘され, 2週間前に右足に熱傷を受傷, 全身浮腫が出現し受傷部が壊疽化したため入院した. WBC 21000/μl, CRP 20.7mg/dl, Alb 1.5g/dl, BUN 12mg/dl, Cr 0.6mg/dl, 尿中蛋白質12.5g/日とネフローゼ症候群を呈していた. 抗生物質とアルブミン製剤の点滴にて治療し, 炎症所見および浮腫が軽快した後, 右下腿切断術を施行した. 術翌日にABG (経鼻1L O2) : pH 7.50, pCO2 56.2toor, pO2 97.5torr, HCO3- 43.8mmol/l, BE 20.2mmol/l となった. 代謝性アルカローシスと判断し, アミノ酸製剤を投与, アルカローシスと高炭酸ガス血症は次第に軽快した. この症例の代謝性アルカローシスは, 体液量が減少した際に, 相対的にHCO3-が体内に残されたために生じた濃縮性アルカローシスと考えられた.