糖尿病
Online ISSN : 1881-588X
Print ISSN : 0021-437X
ISSN-L : 0021-437X
症例報告
ネフローゼ症候群を呈した糖尿病性腎症に代謝性アルカローシスを合併した一例
戎井 理井上 達秀三橋 順子榎本 哲也佐古 伊康
著者情報
ジャーナル フリー

2005 年 48 巻 2 号 p. 97-101

詳細
抄録
症例は50歳, 男性. 7年前に糖尿病を指摘され, 2週間前に右足に熱傷を受傷, 全身浮腫が出現し受傷部が壊疽化したため入院した. WBC 21000/μl, CRP 20.7mg/dl, Alb 1.5g/dl, BUN 12mg/dl, Cr 0.6mg/dl, 尿中蛋白質12.5g/日とネフローゼ症候群を呈していた. 抗生物質とアルブミン製剤の点滴にて治療し, 炎症所見および浮腫が軽快した後, 右下腿切断術を施行した. 術翌日にABG (経鼻1L O2) : pH 7.50, pCO2 56.2toor, pO2 97.5torr, HCO3- 43.8mmol/l, BE 20.2mmol/l となった. 代謝性アルカローシスと判断し, アミノ酸製剤を投与, アルカローシスと高炭酸ガス血症は次第に軽快した. この症例の代謝性アルカローシスは, 体液量が減少した際に, 相対的にHCO3-が体内に残されたために生じた濃縮性アルカローシスと考えられた.
著者関連情報
© 2005 一般社団法人 日本糖尿病学会
前の記事 次の記事
feedback
Top