Trends in Glycoscience and Glycotechnology
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ビトロネクチンの構造と機能
Paula J. McKeown-LongoTracee S. Panetti李 周洋宮本 泰則林 正男
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1996 年 8 巻 43 号 p. 327-340

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抄録

ビトロネクチンは血漿タンパク質であり、細胞外マトリックスにも存在している。血漿に存在しているビトロネクチンは肝臓で合成され、トロンビン-抗トロンビンIII複合体及び補体C5b-7複合体と結合し、機能している。血液や組織でトロンビン-セルピン複合体を除去するオプソニンとして機能するとも考えられている。複合体型と単量体型のビトロネクチンの機能は異なる。これは、細胞表面の特定の受容体を密集化することで異なる細胞反応を起こすと考えられる。ビトロネクチンはヘパラン硫酸プロテオグリカンだけではなく、いろいろなインテグリンにも結合する。ある条件下、特定の組織、特に移動に関係する細胞でビトロネクチンが局所的に合成される。マトリックスのビトロネクチンは細胞の接着や移動を促進する。ビトロネクチンの発現は発生過程で時間的および空間的に調節され、いろいろな腫瘍では増加発現している。ビトロネクチン受容体であるインテグリンαVβ3及びαVβ5は血管新生や腫瘍の浸潤で機能することが示されている。細胞外マトリックスではビトロネクチンがI型プラスミノーゲン活性化因子阻害因子の主要な結合分子であり、細胞表面でウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性化因子の活性と分布を制御している。細胞のまわりでタンパク質溶解を調節するビトロネクチンの機能から、ビトロネクチンは接着の基質として機能するだけではなく、細胞移動に伴うマトリックスの造り直しにも関与すると考えられる。

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© FCCA, Forum; Carbohydrates Coming of Age
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