時間学研究
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時間評価の男女差の分析
青年期を対象として
村上 勝典
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2015 年 5 巻 p. 15-26

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抄録
本研究の目的は青年期男女の時間評価の相違について探索的に検討することであった。20名の対象者(男性10名,女性10名)は5水準(15秒,30秒,1分,3分,5分)の課題時間に対して各々の評価時間を産出するように求められた。これらの手続きを1回として,日を変えて,1人の被験者につき合計3回実施した。(1)被験者ごとに1回目から3回目の平均値と中央値を表し,これらの平均値と中央値に男女差があるかを検討するために,性別×課題時間の2要因分散分析およびMann-WhitneyのU検定を行った。また,1回目から3回目のそれぞれの評価時間が課題時間よりも長い場合には過大評価,短い場合には過小評価とし,3回のうち2回以上過大評価の場合に「過大評価」,2回以上過小評価の場合に「過小評価」と分類した。課題時間ごとに人数に男女で偏りがあるか否かを検討するために,χ2検定を行った。(2) 1回目から3回目の測定は,別の日に実施しており,実験条件が異なるため,個別のデータとして扱い,同様の分析を行った。その結果,(2)の分析を行った結果でのみ有意な差および偏りが示された。この相違は,被験者内で得られた1回目から3回目の評価時間の日間変動に帰せられた。また,時間評価および過大評価の頻度の男女差が松田の4要因乗法モデルに基づいて討論された。
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© 2015 日本時間学会
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