時間学研究
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  • 健常若年男性成人を対象とした複数夜での計測記録の解析
    和田 侑奈, 松本 真希, 小山 恵美
    2023 年 14 巻 p. 1-14
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/04/03
    ジャーナル フリー
    本研究では健常若年男性成人を対象とし,起床時に評価した主観的睡眠潜時と睡眠ポリグラフィによる客観的睡眠潜時や睡眠段階出現割合に加えて起床時の主観的睡眠感などとの相関関係を,就寝前光環境を評価した実験で記録したデータを再解析し,対象者1名につき8~10夜計測した150夜データおよび16対象者ごとの平均値について検討した。  主観的睡眠潜時の日間変動をみると,第一夜効果は明瞭でなく,自己評価の時間刻みは主観的睡眠潜時の長さによって変わる傾向がみられた。16対象者データを相関分析した結果,主観的睡眠潜時はPSGから得られる各客観的睡眠潜時と中等度の有意な相関があり,Stage 2潜時と最も強い相関を示した。さらに,睡眠を4分割した第一区間におけるWake出現割合と有意な正の相関,起床時の主観的睡眠感のうちOSA因子Ⅳ(統合的睡眠)と中等度の有意な負の相関がみられた。また,客観的睡眠潜時が短い対象者の一部で主観的睡眠潜時を長く見積もっており,低い主観的睡眠感が関与していると考えられる。  以上の結果から,睡眠初期の睡眠状態が意識下で一定程度記憶され,起床時に想起された結果が主観的睡眠潜時に反映されるだけでなく,起床時の主観的睡眠感のうち統合的睡眠(熟眠感)評価が強く関与していることが示唆される。このように,一人の対象者を複数夜で計測記録したことにより,日常生活における睡眠評価手法に寄与する新たな知見が得られたと考える。
  • 山本 晴彦, 松岡 光美, 古場 杏奈, 兼光 直樹, 坂本 京子, 岩谷 潔
    2023 年 14 巻 p. 15-35
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/04/03
    ジャーナル フリー
    2018年7月5日から8日にかけての梅雨前線による豪雨、2021年8月11日から14日にかけての秋雨前線による豪雨により筑後川の水位が上昇し、福岡県南部の筑後地方に位置する久留米市では内水氾濫が発生した。特に、筑後川支流の金丸川とその支流の池町川流域では、工場、戸建て住宅、集合住宅等で浸水被害が発生し、最高150cmの浸水深に見舞われた。金丸川・池町川流域は氾濫平野で、1900年は低平地に水田が広がっていたが、1960年代には中央浄化センターが建設され、1980年に入って工業団地が開設され、戸建て住宅や集合住宅が徐々に建設されてきた。2018年と2021年における浸水被害は、豪雨により筑後川の水位が上昇したため、筑後川に流入する金丸川に設置された古賀坂排水機場において水門を閉鎖したこと、水位の上昇により排水ポンプが稼働できなかったことが要因として挙げられる。現在は、福岡県や久留米市により内水氾濫の軽減を目指した取り組みが進められている。
  • 井邑 智哉, 塚脇 涼太
    2023 年 14 巻 p. 37-42
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/04/03
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,時間管理に対する生徒の認知が時間管理の使用に及ぼす影響を検討することであった。時間管理の3側面(時間アセスメント,プランニング,モニタリング)に対する有効性,コスト,望ましさの認知を測定し,それぞれの時間管理使用に及ぼす影響を検討した。分析の結果,時間管理に対する認知は時間管理使用に影響を及ぼすことが明らかとなり,有効性と望ましさは正の影響,コストは負の影響が見られた。特に学習有効性の認知が時間管理の3側面全てに正の影響を及ぼすことが示された。
  • 時間学による科研費と論文数の分析を事例に
    椿 光之助
    2023 年 14 巻 p. 43-52
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/04/03
    ジャーナル フリー
     本稿では、大学の研究支援における研究力の評価のための指標としては極めて基本的な科研費と論文数を用いて、モデル分析に基づくケーススタディを行った。これにより、わずかな数の指標がかかわる因果関係を検討しても、それで把握される研究者の状況が極めて多様になり得ることがわかった。このような状況では、理想的で画一的なキャリアパスのガイドラインを設定し、そこからの乖離を検出して支援対象を見つけて支援策を講じる発想では、研究者の多様性に阻まれ、期待通りの効果が得られない可能性が高いことが予想された。そこで、大学の研究支援の担当部署は、データを用いた費用対効果の分析に基づき、利用される可能性がある程度低い支援策であっても可能な限り多く企画し、多様な支援メニューを設けて、研究者が必要な支援を選んで使えるように準備することが望ましいとの結論を導いた。研究力の考察は、時間軸上のいろいろな点に存在する研究活動の評価に関わる事柄であり、時間学の要素を持つ。また、因果関係の考察も、時間軸上の過去に位置する事象が後の時期に位置する事象の原因となる関係を分析するという点で、時間学の要素を持つ。本稿の学術的貢献は、こうした時間学を研究力の評価に関わる課題に適用可能であることを示したことである。また、本稿の社会的貢献は研究推進の実務で参考になる基礎的な知見を得たことである。
  • 小山 虎
    2023 年 14 巻 p. 53-54
    発行日: 2023/12/31
    公開日: 2024/04/03
    ジャーナル フリー
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