時間学研究
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不良設定問題解決過程としての時間知覚
一川 誠
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2016 年 7 巻 p. 31-46

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抄録

時間に関する知覚過程は、一義的な解のない不良設定問題を解決する過程とみなすことができる。すなわち、時間知覚は、時間進行のペースや事象間の間隔についての確かな情報がないのに、0次元もしくは0.5次元的に得られる諸事象についての知覚情報を一次元的な進行する時間軸上に位置付ける過程と見なすことができる。普段の時間知覚において、何らかの巧妙な方略を用いることによって知覚系はこの不良設定問題に一応の解を与えていると考えられる。本研究では、知覚系がこの不良設定問題解決に用いている方略を理解するために、時間に関する錯視、錯覚の特性を整理した。その上で、進行する時間軸上への諸事象の位置付けという不良設定問題解決のため、知覚系が、処理促進による遅延の短縮や、顕著な情報による引き込み的処理などの方略を用いていることを示した。

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© 2016 日本時間学会
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