学術の動向
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コロナ禍と現代社会 ─人文学・社会科学の視点から─
パンデミックが歴史学の課題であるとはどういうことか
藤原 辰史
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2021 年 26 巻 12 号 p. 12_28-12_31

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抄録

 コロナ禍の中で人文社会科学の担い手たちの発言が目立った。歴史学も例外ではない。たしかに、歴史学研究者が他の時代の感染症を紹介したり、現在と比較することも有意義である。だが、本来、このような全般的危機の状況においては、何が起こったかよりも、何が隠蔽されたのか、何が強調されなかったのか、という方が重要だと思う。新型コロナウイルスによる感染爆発以降、新聞では感染者と死者が毎日記されるようになったが、では、それ以前から、コロナよりも多い自殺者や孤立死の人数はどれほど意識されてきただろうか。以前からあった構造的暴力との関連を無視しては、今回のパンデミックの位置づけを掴み損なってしまうと考える。

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