東北森林科学会誌
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論文
岩手県雫石町の若齢人工林における混生樹の混交歩合と樹種構成
杉田 久志 高橋 健保高橋 良一
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2007 年 12 巻 1 号 p. 28-36

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抄録
岩手県雫石町の約1,000haの流域における10〜30年生の人工林210林分の調査資料により,人工林混生樹の混交歩合と樹種構成の実態を解析した。混生樹の混交歩合は,アカマツ二次林を伐採して造成したスギ人工林において高い値を示したのを除けば,それほど多雪でもない(最深積雪深150cm程度)ことを反映して,概して低かった。混生樹の優占種は前生林タイプによって異なり,アカマツはアカマツ二次林を伐採して造成した人工林で,コナラ,クリはコナラ・ミズナラ二次林を伐採して造成した人工林で,ウダイカンバ,ホオノキ,ミズキなどはヒバ・ブナ・トチノキ天然林を伐採して造成した人工林でそれぞれ優占していた。それらの樹種は他の地域と共通のものが多かったが,ブナのように他の地域で報告されているのにこの流域ではほとんどみられなかったものもあり,地域的なちがいがあることも示唆された。優占種には,風や鳥により広範囲に種子が散布される樹種や埋土種子バンクをつくる樹種が含まれている一方で,大型種子をもち小動物により散布される樹種もみられた。
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© 2007 東北森林科学会
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