東北森林科学会誌
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ウソが選好するサクラの種類,品種が示す花芽の特徴
鈴木 祥悟 島田 卓哉八木橋 勉八木 貴信
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2016 年 21 巻 1 号 p. 1-5

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抄録

東北各地のサクラの名所でも,ウソによるサクラ花芽の摂食が問題になることがある。ウソが摂食するのはおもに花芽であり,サクラの種類や品種の違いによっても摂食されやすいものとそうではないものがある。これらの原因を明らかにするために,森林総合研究所東北支所構内に植栽されているサクラについて,ウソが摂食する時期の芽の特徴を調査した。花芽と葉芽の化学成分分析から,葉芽にはタンニンおよび総フェノールが多く含まれるため選好されないのではないかと考えられた。また,サクラの種類や品種ごとに,採餌効率に関連すると考えられる,花芽数,花芽割合,形状,乾燥重量と粘着性について物理的形質を測定した。これら採餌効率に関わる花芽の形質がウソの選好性の違いに及ぼす影響をロジスティック回帰によって検証したところ,花芽数と粘着性がウソの選好性に対して有意な影響を与えていることが明らかになった。

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