日本シミュレーション学会論文誌
Online ISSN : 1883-5058
Print ISSN : 1883-5031
ISSN-L : 1883-5058
学生論文特集
避難シミュレーションにおける局所的情報を扱う避難誘導システムの提案
小林 直輝山﨑 達也佐藤 翔輔
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 13 巻 1 号 p. 23-31

詳細
抄録

災害時に迅速な避難を実現するためには,適切な情報を確実に避難者へ伝達する必要がある.特に都市部では地域外から訪れる人も多く,地域の避難場所の情報を知らない可能性が高い.防災行政無線や緊急速報メールでは,広範囲に向けて同一の情報を伝達することに向いてはいるが,避難者のいる位置に適した局所的な避難情報を適応的に伝達することには不向きである.本稿では,個々の避難者の位置によって異なる避難場所に関する情報を提供する方法として,タクシーを活用した避難誘導システムを提案する.更に,提供する情報として,地域の災害に対する危険度をハザードマップから取得した地域の災害に対する危険度を考慮し,発災後の経過時間に適した避難方法を選択することを提案する.検証実験として,格子状の仮想都市においてタクシーによる情報発信の有無に関するシミュレーション行い,本提案の有効性を確認した.また,提供情報に関する実証実験として,実際の都市を対象とした避難シミュレーションを行い,提案手法と最寄りの避難場所を選択する場合の二つを比較した.実験結果より,提案手法を適用することによって,津波に遭遇する確率を4.80%低減できることが検証できた.

著者関連情報
© 2021 日本シミュレーション学会
前の記事 次の記事
feedback
Top