送電線下に位置する人体モデルに関し,足元から大地に流れる短絡電流(接地電流)を数値解析した.足が濡れた状態の人体モデルを大地に接して直立させ,金属板あるいは金属枠を両腕で頭上に保持させた.人体モデルには3 kV/m, 50 Hzの鉛直方向一様交流電界を印加した.金属物体の高さ(≤9.34 m),横幅(≤9.34 m),厚み(≤5.4 cm),保持点高(≤2.367 m)などをパラメータとして接地電流を解析した.接地電流が国際防護指針値である500 µAを超える際の,各パラメータの値を調査した.さらに,関連する全パラメータの完全2次多項式モデルで接地電流を表現し,フィッティング係数を非線形最小二乗法により算出した.得られた近似多項式は,金属板保持モデル解析において,接地電流の解析値を約−2.64%~3.90%以内の相違で表現できた.2次多項式モデルが適切であったのは,接地電流が表面電荷量と比例し,表面電荷量は解析対象の表面積に強く依存するためと考えられる.