2023 年 15 巻 2 号 p. 51-55
無線LAN接続において,認証解除など防御が難しい攻撃手法に対し,アクセスポイント(AP)側のアンテナでフェーズドアレーを構成し,攻撃端末の方向からの電波それ自体を受信しないようにすることで,物理的に回線遮断するシステムを検討した.フェーズドアレーによって通信方向を制御するとき,一般に各素子への励振位相は解析的に求めるが,通信が遮断する方向は1つに制限できないため,特定の方向からの通信のみを遮断し,それ以外の通信は確保するような位相解を得られない場合がある.また実際の運用では移相器の移相範囲には制限があり,制御電圧もD/A変換器を用いるために連続量をとることができないという制限もある.本論文ではシミュレーションで3素子アレーを用いπ[rad]まで,10 bit精度の移相量で制御することで,全周にわたって唯一で任意の通信遮断角度を持つシステムが実現できたので報告する.