2023 年 15 巻 2 号 p. 87-93
本論文では,反復型領域分割法を用いた有限要素法に基づく大規模高周波電磁場シミュレーション手法について述べる.高周波電磁場解析のための定常ベクトル波動方程式を,電場を未知数として解くものである.このソルバは反復型領域分割法(Iterative domain decomposition method: IDDM)とそれに対応する並列分散処理環境を用いて大規模電磁場問題の有限要素解析を詳細かつ高速・効率的に行うことができるが,反復計算の試行回数が多く計算時間がかかるという問題がある.本研究では,十分な精度の解が正しく得られる収束判定値を,ベンチマーク問題による精度検証により見いだし,その上でIDDMにおける部分領域のサイズを変更するパラメータ・スタディにより,計算時間短縮に向けた部分領域サイズの模索をすることで,適切な計算条件を決定する.また,この計算条件のもと,1億~2億の大規模解析を実行することで,手法の有効性を示す.