2025 年 17 巻 2 号 p. 97-105
交通渋滞や交通事故の背景には,道路の構造や運用の問題がある.こうした問題を正確に把握し,安全で円滑な道路交通を実現するためには,広く専門的な知識や高度な技術が求められるが,その環境を整えることは簡単なことではない.一方で,交通現象の多くは,実は汎用的なアプローチ,簡易的なモデルによって再現することができる.対象とする交通現象の本質を損なうことなく,適切に挙動をモデル化することができれば,迅速かつ効果的な改善につながる.そこで本研究では,身近な道路交通の問題を対象に,現地調査によって得られたデータを活用し,計算コストが低く簡易的で柔軟な離散系シミュレーションモデルを効率的に構築し,問題となる交通現象の理解や改善策の検討を行うなうための実践的な方法を提案する.実際に,この手法を仙台国際センター付近の視認性の低い左カーブの直後の一時停止の問題に適用し,現地調査の結果をもとにシミュレーションモデルを構築し,市道仙台城跡線の長期通行止による交通流の変化を考慮した4種のシナリオで実験を行う.