Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene
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韓国済州島のマレー糸状虫に関する研究
2 マレー糸状虫の伝搬蚊
和田 義人片峰 大助呉 文儒
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1973 年 1 巻 3-4 号 p. 197-210

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抄録
済洲島において1970~1972年の8, 9月に蚊の採集を行なって合計14種を得たが, その中で人家内で住民から主として吸血をするのはアカイエカとトウゴウヤブカであった。また, マレー糸状虫の感染幼虫による自然感染はトウゴウヤブカにおいてのみ見られた。以上のことから, 済洲島におけるマレー糸状虫症の主伝搬蚊はトウゴウヤブカと考えられる。他地方でマレー糸状虫症の伝搬者として知られるシナハマダラカは, 済洲島では幼虫の発生場所が極めて少なく, 伝搬に重要な役割を果しているとは考えられない!マレー糸状虫の幼虫がトウゴウヤブカ体内で成熟するに要する日数は, 患家で採集した雌成虫を種々の期間飼育の後に解剖した成績から, 夏では6~9日と推定された。これはバンクロフト糸状虫の場合と比べるとずっと短い。トウゴウヤブカの幼虫は主として海岸の岩の水たまりから発生し, 部落の中での発生は極めて少ない。本種の雌成虫は海岸近くの人家で多く, 内陸部に入るほど少なくなる傾向が見られ, マレー糸状虫症の患者の分布にも同様の傾向が見られる。
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