Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene
Online ISSN : 2186-1811
Print ISSN : 0304-2146
ISSN-L : 0304-2146
ケニア諸地域住民の腸管寄生原虫感染状況
井関 基弘林 薫SIMON M. GATIKAT. K. ARAP SIONGOK
著者情報
ジャーナル フリー

1983 年 11 巻 3-4 号 p. 249-256

詳細
抄録
1980年5月から11月の間にケニアのNaivasha, Kitui, Machakos, Taveta及びNandi Hillsの住民2,114人から採取した糞便についてホルマリン・エーテル法により腸管寄生原虫のシストの検査を行い感染状況を調査した。
その結果, 赤痢アメーバは31.8%, 大腸アメーバは52.3%と極めて高率を示し, その他は小形アメーバ4.8%, ヨードアメーバ8.7%, ランブル鞭毛虫8.3%, メニール鞭毛虫10.4%であった。腸トリコモナス及びEntamoeba hartmanniも少数例検出されたが, 大腸バランチジウムやイソスポーラなどは検出されなかった。総陽性率 (陽性総数/検査総数) は75.1%にも及び, 飲料水, 食物など生活環境が糞便によって高度に汚染されていることが示唆された。陽性率に男女間の有意差は認められなかった。年齢別にみると, 4歳以下の乳幼児でもすでにかなり高率に感染がみられるが, ランブル鞭毛虫を除き, 特に30歳代から40歳代で最高値を示した。ランブル鞭毛虫は若年齢層ほど高い陽性率を示し, 4歳以下が最高であった。
本調査は日本国際協力事業団 (JICA) の医療協力「ケニア伝染病研究対策プロジェクト」の一環として行われたものであり, その撲滅対策を, 戦後日本で実施され成果をあげた寄生虫予防対策事業との関連において考察した。
著者関連情報
© 日本熱帯医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top