Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene
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フィリピンの日本住血吸虫症低流行地におけるCOP反応の疫学的意義
田中 寛ALFREDO T. SANTOS JR.松田 肇安羅岡 一男BAYANI L. BLAS中尾 稔荒木 国興中村 哲
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1987 年 15 巻 2 号 p. 87-96

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抄録
フィリピン, ボホール島のタリボンとトリニダッド町内の6村落の約5,740人を対象に, 1981年より1984年までに日本住血吸虫の虫卵検査とCOP反応を行った。被験者4,094の内, 虫卵陽性率は3.5%であったが, COPでは9.8%であった。2村落におけるCOP陽性者の反復した検便の結果, COP陽性者中の虫卵陽性率は当初の24.4および24.0%から79.1および48.1%へと上昇した。この事から, よく標準化した手法でCOP反応を行えば, 住血吸虫の真の寄生率が得られる事が示唆された。6村落間の虫卵陽性率は1.4%から6.9%と差は小さく, COPでは3.2%から22.2%と大きな差を示し, サンビセンテとサントトーマスの2村落が最大の危険地域である事が明瞭に示された。サンビセンテでは1984年以前には, 中間宿主貝の生息地は発見されていなかったが, COP反応強陽性者のいる家族の村落内の分布調査から, パラワン芋の茂る, アパオ湿地と呼ばれている場所で多数の貝を1984年7月に初めて発見できた。
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© 日本熱帯医学会
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