Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene
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Diffusion chamber内Leishanania braziliensis, L.donovaniおよびTrypanosoma cruziのハムスターとマウス体内での運命
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橋口 義久古谷 正人岡村 宜典
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1987 年 15 巻 2 号 p. 97-104

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抄録
宿主動物とLeishmania braziliensisおよびL.donovaniとの相互関係をin vivoで解析する一つの試みとして, 上記原虫をdiffusion chamberに封入, ハムスターおよびマウスの皮下, 腹腔, 陰嚢 (ハムスターのみ) へ外科的に移植, 継時的にchamberを回収し, まず, それらの世代転換 (transformation) や生存を調べた。また比較のため, Trypanosoma cruziについても同様な実験を試みた。その結果, 2種のLeishmaniaはハムスターおよびマウスの皮下, 腹腔内では, 極めて短期間の生存を示したが, ハムスターの陰嚢内chamberではより長時間生存した (図1, 2)。しかし, いずれの場合にもpromastigoteからamastigoteへの転換は認められず, 原虫は短鞭毛・小形の移行型に止まった。一方, T.cruziはハムスターでは生存が短いものの, マウスでは腹腔と皮下の両移植部位において5日以上にわたって生存し, epimastigoteからtrypomastigote, amastigoteへの転換も認められた (図3)。以上の結果は, Leishmania属とTrypanosoma属間での世代転換が極めて異なること, また両属原虫の生存期間は, diffusion chamber内という特殊な条件下においても, 宿主動物の種によって異なることが示唆された。
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