抄録
濾紙法を用いてHBsAgの検出を, ELISAによって行うことを検討したので報告する。
RIA法によりHBsAg陽性を確認した10名と, 同様に陰性を確認した10名の計20名について採血用濾紙 (東洋濾紙・ストリップI型) に血液の微量を吸着させ, 自然乾燥後一定量を切り取り, PBS (pH7.2) 中で抽出 (37℃・3hr) したもの0.1mlを検体としてELISA (イムニスHBsAgEIA・三光純薬) によりHBsAgの検出を行った。
RIA法およびELISA原法との比較では, 上記の被検者より得た陽性検体200枚, 陰性検体100枚を本法により分析した結果と, RIA法の結果は全例で一致した。また, 血清0.1mlを用いたELISA原法とも全例で一致した。採血用濾紙1型に採血した試料を1mlのPBSで抽出すると理論上希釈率は0.04となる。本研究では原血清について検量線を作成し, それを基に希釈率を求めたが, その値は0.041-0.082であった。1ケースより10枚の濾紙血を得, 本法に於ける測定値の変動を調べた。吸光度がoverflowしなかった6ケースでみると, 変動係数は7.4%-14.9%で高い再現性が得られた。採血した濾紙を, (1) 室温 (20℃), (2) 室温+乾燥剤, (3) 冷蔵庫内 (3℃) の3条件下で保存し7, 14, 21日後にそれぞれ測定を行った。陽性例ではいずれの条件下でも, 21日目まで吸光度の明らかな低下は認められなかった。また, 陰性検体が陽性になることもなかった。以上により本法は熱帯地域におけるHBsAgの調査に利用可能であると考えられる。