抄録
旧大陸のサシチョウバエでは卵巣付属腺の分泌する顆粒の有無が経産, 未経産雌の区別に用いられているが, 新大陸のサシチョウバエではこの方法の応用は難しいとされている。今回, エクアドルにおいて人囮法で採集した7種のサシチョウバエを解剖し, ovarian relic法による経産歴と付属腺での顆粒の有無との関係を検討した。低地のリーシュマニア症媒介種, Lnttzomylatrapidoi, Lu. hartmanniおよびLu. gomeziを含む6種では未経産雌, 経産雌いずれにも付属腺の分泌顆粒が見られるなど顆粒の有無だけでは経産歴を判定できないという結果を得た。一方, アンデス高地のLu. ayacuchensis.では, 分泌顆粒は経産雌のみに見られ, 経産個体の判別に用いられ得ることが分かった。