Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene
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Vibrio furnissiiによる食中毒症例-本邦とフィリピンにおける自験例の臨床像について
奥村 悦之中嶋 敏宏秦 光孝EDY L. MYPA
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1990 年 18 巻 1 号 p. 23-30

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抄録
1987年1月, フィリピン・ネグロス島, バコロド市における住民検診時, 下痢を訴えた34名の糞便を直腸スワブにて採取し, 起因菌を検索し, 2例 (5.9%) にVibrio furnissiiが分離同定された。また一方1987年6月, 大阪市において, 法事の際の折詰弁当, 特に赤貝, サザエ, マグロ刺身, 海老の天ぷら, 鯖寿司などの魚介類を食べた同胞3児が下痢を訴え, それぞれの糞便を検索したところ, 同様にVibrio furnissiiを検出し, これら3例は本菌による食中毒症例と診断された。主要症状は下痢, 腹痛, 悪心嘔吐, 発熱の4主徴が必発した。潜伏期間は10-14時間, また下痢持続時間は12-30時間であった℃3症例のうち1例はVibrio pamkaemolyticusとの混合感染例であり, 当然のことながら脱水症などを合併して重篤となった。これら3症例のVibrio furnis-sii感染による食中毒症例は本邦最初の報告例と思われる。
またVibrio furnissiiVibrio parakaemolyticusVibrio fluvialisと同様, 病原性を有する株が, 主として魚介類を介して感染するとされており, 食中毒起因菌として今後も充分注目されるべきであろう。
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