Japanese Journal of Tropical Medicine and Hygiene
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航空輸送機関および外国各地公共施設における飲料水の水質
奥村 悦之橋本 恵介水田 成彦秦 光孝奥村 泰之岡村 宜典
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1992 年 20 巻 3 号 p. 193-201

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抄録
1981年より1991年の10年間, 一般旅行者がごく手軽に飲料水の提供をうけ易い航空機内や空港内, また観光地など公共水飲み施設の飲料水について水質検査を実施し, 特に細菌学的検査成績を通して海外旅行中における飲料水による感染病防止について考察した。
アンモニア性窒素, 亜硝酸性および硝酸性窒素のいずれかが定性試験で陽性を示したものは, 空港では9空港中4空港で44.4%, 航空機は9機中2機で22.2%, 公共施設は16施設中9施設で56.2%であった。過マンガン酸カリ消費量20mg/l以上を示したものは, 空港では14空港中8空港57.1%, 航空機は12機中8機66.7%, 公共施設は16施設中10施設62.5%であった。
一般細菌が1.0×102/m1以上の集落を認めたものは, 空港では9空港中6空港66.7%, 航空機は11機中7機63.6%, 公共施設は18施設中11施設61.1%であった。大腸菌群が陽性を示したものは, 空港では8空港中5空港62.5%, 航空機は10機中6機60.0%, 公共施設は11施設中4施設36.4%であった。残留塩素の存在が証明し得なかったものは, 空港では16空港中9空港56.3%, 航空機は5機中2機40.0%, 公共施設は7施設中4施設57.1%であった。
一般細菌および大腸菌群陽性の29検体について細菌学的検査を行ったとにろ, Escherichia coli が最も多く検出され, 次いでAcinetobacter calcoaceticus, Aeromonas hydrophila, Pseudomonas spp., Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis, Enterobacter cloacae, Citrobacter freundiiの順であった。
一般細菌や大腸菌群が陽性を示した飲料水と, アンモニア性窒素, 亜硝酸性および硝酸性窒素が陽性を示した飲料水, 過マンガン酸カリ消費量が高値の飲料水, そして残留塩素が陰性を示した飲料水との相関は高かった。
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