抄録
実験はゴールデンハムスターに, Leishmania mexicanaを感染させて行った。接種後6カ月目に屠殺した時, 接種部位は厚い痂皮を付す浅い潰瘍となっていた。躯幹の他の部位には, 病変を認めなかった。接種部位 (鼻, 足蹠) 標本の病理組織学的所見は, 多数のamastigotes (AG), 組織球, リンパ球の広範な浸潤が見られ, 好中球, 好酸球, プラズマ細胞を軽度混在していた。真皮の肉芽腫性病変の上下では, マスト細胞の出現が著明であった。AGは病巣中央部のマクロファージにある, 大きな空胞内に存在していた。また電顕的には, 肝臓, 脾臓にもAGが認められたが, 皮膚に比べると数は少なかった。皮膚, および内臓のマクロファージ内で観察された寄生虫の破壊は, にの細胞の貧食作用によるものと思われた。